2010/03/10
【脳研究 - headlines】
- Functional-anatomic fractionation of the brain’s default network (Andrews-Hanna JR, Reidler JS, Sepulcre J, Poulin R, Buckner RL, Neuron. 2010 Feb 25;65(4):550-62)
- How much are clinical fMRI reports influenced by standard postprocessing methods? An investigation of normalization and region of interest effects in the medial temporal lobe (Beisteiner R, Klinger N, Höllinger I, Rath J, Gruber S, Steinkellner T, Foki T, Geissler A, Hum Brain Mapp. 2010 Mar 4)
1本目は3つの異なる実験をやってdefault mode networkを分類してみましたという研究。って、だいぶやり尽くされた感のあるテーマだけどそんなに面白いかなぁ?
2本目は個々人レベルでのROI definitionを標準脳テンプレートに合わせた後のデータでやるか、その前の生データでやるかによって差が出るか?というのを調べた研究。結論から言うと「生データでやった方が良い」。でもBVとかnormalizationをした後でないとやりにくかったりするし、どうしたもんでしょうかねぇ・・・。
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2010/03/08
【脳研究 - headlines】
- Sensitivity of MRI resonance frequency to the orientation of brain tissue microstructure (Lee J, Shmueli K, Fukunaga M, van Gelderen P, Merkle H, Silva AC, Duyn JH, Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Mar 2)
- Event-related potentials (MMN and novelty P3) in permanent vegetative or minimally conscious states (Fischer C, Luaute J, Morlet D, Clin Neurophysiol. 2010 Mar 2)
1本目のPNAS論文はなかなか楽しげな研究。普通は水分子のラーモア周波数に共鳴周波数を固定してNMRデータに位相エンコードを施した結果としての2次元FFT画像を扱うのがMRIだというのに、その周波数がfiber structure内部における微細構造に応じてブレるという現象を利用して、分子レベルでの微細構造の方向性を検出しようというもの。臨床シーケンスをやってる人には難しくない話なのかもしれませんが、基礎の人間から見ると目からウロコってやつです。
2本目は植物状態の診断ネタ。ERPの、しかもMMNやnovelty P3が有効らしいと報告しています。
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2010/03/08
【科学】
当blogにも時々辛口のコメントを下さるふじー先生が、サイエンスのアウトリーチ活動について大変示唆に富んだエントリをお書きになっていたので、簡単にご紹介したいと思います。僕が特に感銘を受けたのは以下の箇所。
半歩先を進むのは振り返れば仲間がいるから安心出来る。だけど、ヒトの道先案内人の役割は果たせない。灯りの役目は他のヒトから少し離れた所に無いと意味が無いから。
離れた所を一人でグイグイ歩くということは、後ろに誰かがついてくるという保証は無いし、不安だらけだ。でも、社会からの投資に応えるためには、そこを果敢に攻め続ける以外に無いに違いないと、石黒さんの本を読みながら思った。つまり、科学者の社会貢献度はその研究態度に現れるということだ。(中略)
近頃は、社会還元というお題目が盛んに言われるけれど、ギリギリの所を不安を抱えながら進んでいない科学者には苦痛に違いない。なぜなら、語るべきオリジナルの哲学を持てないから。引用や参照ベースの思索から突拍子も無い変わったアイディアは生まれにくいのだ。
社会還元のためのアウトリーチとは、プレスリリースのように実験の結果を伝える事ではなくて、科学するときに沸き起こる思索の過程と、その結果自分のココロが揺らぐ経験を伝えることなのじゃないか。僕には、今の自分が出来る社会還元はそれ以外には見いだせない。なぜなら、具体的な研究結果の詳細を一般のヒトと共有して、一緒に考える事は出来ないけれど、経験や思索は共有して、より良い社会を作るために一緒に考える事が出来るから。
そこには、サイエンスリテラシーは殆ど必要ないだろう。誰にでも分かる平易な言葉で、思索と経験を語るだけで良いのではないだろうか。それは、科学者以外には出来ない特権なのだ。だから、科学者はもっとその特権を使うべきだ。
これは実に仰る通りで、確かに受け手の側(=一般社会の人々orメディアの視聴者)にリテラシーを要求するような情報を提供したところで、それはただ研究者の側が一方通行的に情報を発信しただけで、何かの社会還元を果たしたとは言いにくいわけです。
「結果」についての情報が伝わっただけでは、社会の側はそれをどうやって扱ったら良いかわからないかもしれません。それは最終的に誤った認識や「似非」の蔓延につながっているのかもしれませんし、そもそものサイエンスそのものやサイエンスを維持する営みに対する誤解を招いているのかもしれません。
似たようなポイントについては、実は以前にも断片的に論じたことがあります。
往々にして、サイエンスの外側にいる人々からは「どこからどこまでがサイエンスなのか」すらつかめないものだろうと思います。
ふじー先生も仰る通り、サイエンスの社会還元というものには難しい部分があります。確かに、現実の利益を要求されているのであればとっくの昔に大半の基礎分野は潰されて消滅してても不思議はないわけで、そうでない以上別の何かをずっと要求され続けていると見るべきだというのは実にご尤もな指摘です。
それは何か?というと「サイエンスの現場にしかないもの」なのだと思いますが、それこそがまさに科学者個々人がオリジナルに抱えている「(オリジナルな結果へとつながる)経験と思索」なのだというわけです。特にふじー先生は測定手法の新規開拓を自ら実践されている方ですので実に重みのある指摘だと感じます。
現実問題として、研究者全てがふじー先生のように一番ラジカルなところでのパイオニアであり続けられるわけではありませんので、一人一人がそこまでオリジナリティのある経験と思索を一般社会に向けて開陳できるとは限らないと思います。しかしながら、一人一人がそのようにあり続けられるよう努力することが、社会還元と社会への説明責任を果たし、また個々人の研究をさらに新しい方向へと導くきっかけになるのではないかとも思われます。駆け出しの若造としては、肝に銘じたい至言です。
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2010/03/04
【脳研究 - headlines】
- Intracranial EEG Correlates of Expectancy and Memory Formation in the Human Hippocampus and Nucleus Accumbens (Axmacher N, Cohen MX, Fell J, Haupt S, Dümpelmann M, Elger CE, Schlaepfer TE, Lenartz D, Sturm V, Ranganath C, Neuron. 2010 Feb 25;65(4):541-549)
- ERP effects of change localization, change identification, and change blindness (Busch NA, Dürschmid S, Herrmann CS, Neuroreport. 2010 Feb 9)
1本目はRanganathのところから出たNeuron論文。要するにhippocampusとnucleus accumbensとが対になっているループ構造の中で機能表象がなされているという話らしいんですが、そのintracranial EEG潜時が・・・「ループ」というにはちょっと近すぎるのでは?
2本目はchange blindnessのERPという割とオーソドックスながらも実は手付かずの部分が多いネタ。何でもchangeのlocalizationとidentificationとでearly stageでは処理が共通しているらしいということで、そこにblindnessにつながる可能性があるというストーリーのようです。となれば、その共通点と相違点のfMRI/neuronal correlatesを定量化できればもっと良い論文が書けるかも?
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